ダイビングで一番大切なのは「余裕」かもしれない

スキル・安全

ダイビングが上手くなりたい。

そう思ったとき、何を練習すればいいでしょうか?

中性浮力。

フィンキック。

耳抜き。

エアの消費。

器材の扱い。

もちろん、どれも大切です。

でも、私が長くダイビングをしていて感じるのは、

ダイビングで一番大切なのは「余裕」なのかもしれない。

ということです。

余裕があると、周りが見えます。

余裕があると、魚を楽しめます。

余裕があると、自分の変化にも気づけます。

そして、何か起きたときにも落ち着いて対応しやすくなります。

今回は、ダイビングにおける「余裕」について考えてみます。

余裕があると周りが見える

水中で余裕がなくなると、視野が狭くなります。

目の前のことだけで精一杯になる。

例えば、

「ちゃんと呼吸しなきゃ」

「浮いちゃう」

「沈んじゃう」

「フィンがうまく動かせない」

そんなことを考えていると、周りを見る余裕がなくなります。

すると、バディとの距離が離れていることに気づかなかったり、進行方向を見失ったりすることもあります。

逆に、少し余裕があると、

「バディはここにいる」

「この先は浅くなっている」

「少し流れがあるな」

「魚があそこにいる」

と、いろいろな情報が入ってきます。

余裕がある人ほど、たくさんの情報を受け取れる。

これが水中では非常に大きな違いになります。

余裕があると「早めに気づける」

ダイビングでは、何かが大きな問題になってから対応するより、小さな変化の段階で気づくほうがいいことがあります。

例えば、

「少し耳が抜けにくい」

「なんとなく寒くなってきた」

「少し呼吸が速い」

「思ったより疲れている」

「バディとの距離が開いてきた」

こうした変化です。

余裕がなくなると、こうした小さな変化を見落としやすくなります。

そして、気づいたときにはかなり苦しくなっている。

だからこそ、

「まだ大丈夫」な段階で気づくこと

が大切です。

余裕は「体力」だけではない

余裕というと、

「体力があること」

をイメージするかもしれません。

もちろん体力も大切です。

でも、ダイビングでいう余裕はそれだけではありません。

呼吸の余裕

呼吸が落ち着いている。

浮力の余裕

浮き沈みを慌てず調整できる。

エアの余裕

残圧に余裕を持って行動できる。

時間の余裕

予定を詰め込みすぎない。

気持ちの余裕

怖い、不安、疲れたということを自分で認識できる。

こうしたものが全部合わさって「余裕」になります。

「ギリギリまで頑張る」は上手さではない

ダイビングでは、

「最後まで頑張った」

ことが上手さではありません。

むしろ、

「余裕を残して終える」

ことのほうが大切です。

エアをギリギリまで使う。

体力をギリギリまで使う。

疲れているのに泳ぎ続ける。

不安なのに我慢する。

こうしたことをしてしまうと、何か別のことが起きたときに対応する余裕がなくなります。

だから、

「まだできるけど、ここでやめておく」

という判断が大切になります。

余裕があるから「あきらめる勇気」を持てる

海況が悪い。

体調が良くない。

思ったより流れが強い。

耳抜きがうまくいかない。

そんなとき、

「せっかく来たんだから」

と無理をしてしまうことがあります。

でも、本当に余裕があるダイバーは、

「今日はやめておこう」

という判断もできます。

ダイビングでは、何かを諦めることが必ずしも悪いことではありません。

むしろ、

安全のために「あきらめる勇気」を持つこと

も大切です。

余裕がなくなってから判断するのではなく、余裕があるうちに判断する。

これが重要です。

余裕があると、ダイビングがもっと楽しくなる

安全の話ばかりになってしまいましたが、余裕は楽しさにも直結します。

余裕がなければ、

「ちゃんと泳がなきゃ」

「インストラクターについていかなきゃ」

「浮いちゃダメだ」

と、自分のことで精一杯になります。

でも、余裕が出てくると、

「この魚は何をしているんだろう?」

「この岩の下に何かいないかな?」

「この景色きれいだな」

と、海そのものを楽しめるようになります。

ダイビングは、泳ぐことだけが目的ではありません。

海の中で過ごす時間を楽しむものです。

そのためにも、余裕はとても大切です。

余裕を作るには「頑張らない」

では、どうすれば余裕が生まれるのでしょうか?

意外かもしれませんが、

余裕を作るために、頑張りすぎないことです。

必要以上に泳がない。

手をバタバタ動かさない。

無理に魚を追いかけない。

疲れたら休む。

分からなければ聞く。

不安なら伝える。

早めにペースを落とす。

こうした小さなことの積み重ねで、余裕が生まれてきます。

「余裕がある人」は何もしていないように見える

水中で上手なダイバーを見ていると、

「何もしていないように見える」

ことがあります。

手を大きく動かさない。

フィンも激しく動かさない。

急いでいない。

魚の前でじっとしている。

でも、実際には、

浮力を調整し、

姿勢を整え、

周囲を確認し、

バディを確認し、

自分の状態を確認しています。

ただ、それらを慌てずにできるだけの余裕がある。

だから、動きが小さく見えるんです。

ダイビングの上達は「できることを増やす」だけではない

もちろん、できることが増えるのは上達です。

でも、それと同じくらい、

余裕を残してできるようになること

も大切です。

最初は中性浮力を取るだけで精一杯だった。

そこから、周囲を見る余裕が出てくる。

魚を見ながら泳げるようになる。

バディの位置も確認できるようになる。

自分の残圧や深度も自然に確認できる。

そして、必要なら休むこともできる。

こうなってくると、ダイビングそのものが変わってきます。

最後まで余裕を残す

ダイビングでは、

「どれだけできたか」

だけではなく、

「どれだけ余裕を残して終われたか」

も大切だと思います。

余裕があれば、周りが見える。

余裕があれば、早めに異変に気づける。

余裕があれば、判断できる。

余裕があれば、海を楽しめる。

そして、余裕がなくなってきたら、

休む。

戻る。

予定を変更する。

場合によっては潜らない。

それでいいんです。

ダイビングは、限界まで頑張るスポーツではありません。

余裕を持って海を楽しむこと。

それこそが、安全に長くダイビングを続けるために大切なことなのではないでしょうか。

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