ダイビングが上達しても忘れてはいけない基本

スキル・安全

ダイビングを始めたばかりの頃は、覚えることがたくさんあります。

器材の使い方。

呼吸の仕方。

耳抜き。

フィンキック。

中性浮力。

安全停止。

バディとのコミュニケーション。

最初は一つ一つ確認しながら潜っていたのに、経験を重ねるにつれて、いつの間にか自然にできるようになっていきます。

これはダイバーとして上達した証拠です。

でも、ダイビングには少し面白いところがあります。

上達したからこそ、忘れてしまう基本があります。

何度も潜っていると、「これくらい大丈夫だろう」と思ってしまう。

毎回やっていることだから、確認しなくても分かっているつもりになる。

でも、海は毎回同じではありません。

だから私は、経験を積んだダイバーほど、基本を大切にしてほしいと思っています。

今回は、ダイビングが上達しても忘れてはいけない基本について書いてみます。

1.器材の確認を「慣れ」で済ませない

何度も潜っていると、器材のセッティングも当たり前にできるようになります。

だからこそ、

「いつも通りだから大丈夫」

となりやすいところです。

でも、器材は毎回同じ状態とは限りません。

タンクへの接続。

レギュレーター。

BCD。

インフレーター。

残圧計。

ウェイト。

フィンやマスク。

ダイビング前には、一つ一つ確認することが大切です。

特に、自分が慣れている器材だからといって、確認を省略しないこと。

慣れているから確認しなくていいのではなく、慣れていても確認する。

これが基本です。

2.バディチェックを形だけにしない

バディチェックも、経験を積むほど簡単に済ませてしまいがちなものです。

「大丈夫?」

「大丈夫です」

それだけで終わってしまうこともあります。

でも、本来はお互いの器材や状態を確認するためのものです。

レギュレーターから正常に呼吸できるか。

BCDが正常に作動するか。

空気源を確認できているか。

ウェイトを確認できているか。

必要な器材が揃っているか。

もちろんダイビングの環境や器材によって確認する内容は変わります。

大切なのは、「いつものことだから」と省略しないこと。

何か問題があったときに気づくのは、水中より水面のほうがずっと簡単です。

3.「耳抜きは大丈夫」と思い込まない

経験者でも耳抜きの問題は起こります。

体調によって違うこともありますし、睡眠不足や鼻の状態などによって、いつもと感覚が違うこともあります。

特に潜降するとき、

「いつも問題ないから」

と我慢してしまうのは避けたいところです。

耳に違和感や痛みを感じたら、無理に深く潜らない。

必要なら少し浮上して、耳抜きをやり直す。

それでもうまくいかなければ、インストラクターやバディに伝える。

経験があるからこそ、「いつも大丈夫」という思い込みを持たないことが大切です。

4.呼吸を忘れない

ダイビングに慣れてくると、呼吸を意識しなくても潜れるようになります。

これは良いことです。

ただし、だからといって呼吸がどうでもいいわけではありません。

深度が変わったり、流れがあったり、寒かったり、泳ぐ距離が長かったりすると、呼吸が知らないうちに変化することがあります。

「今日は少し息が上がっているな」

と気づいたら、無理に泳ぎ続けない。

ペースを落とす。

必要なら止まって休む。

呼吸が乱れている状態で頑張り続けるより、一度落ち着くほうがいい場合があります。

5.残圧をこまめに確認する

経験を積むと、エアの減り方がなんとなく分かるようになります。

だからこそ、

「まだ大丈夫」

と残圧計を見る回数が減ってしまうことがあります。

でも、エアの消費量は毎回同じではありません。

深度。

流れ。

水温。

運動量。

緊張。

器材。

さまざまな条件で変わります。

だから、感覚だけに頼らず、残圧計で確認する。

そして、「まだあるから大丈夫」ではなく、「余裕を持って戻る」ことを考える。

これは経験を積んでも変わらない基本です。

6.安全停止を「ただの3分」にしない

安全停止も、何度も経験すると作業のようになってしまうことがあります。

「あと3分だから待っていればいい」

という感覚です。

でも、安全停止中も自分の深度や浮力、残圧、周囲の状況を確認する時間です。

特に浅い水深では、浮力の変化にも注意が必要です。

安全停止だから気を抜いていいわけではありません。

むしろ、

最後までダイビングをしている。

という意識を持っておきたいところです。

7.海況を見ることを忘れない

経験豊富なダイバーほど、海況を見ることが大切です。

波。

うねり。

風。

流れ。

透明度。

水温。

エントリーやエキジットの状況。

そして、自分たちの経験やスキル。

「前回はこの海で普通に潜れた」

という経験が、今回もそのまま当てはまるとは限りません。

海は毎回違います。

だから、

前回潜れたから今回も潜れる。

とは考えないこと。

その日の海を見て、その日の自分たちの状態を見て判断する。

必要なら予定を変更する。

それもダイビングの技術です。

8.分からないことを「分からない」と言う

これは経験を積んだダイバーほど大切なことかもしれません。

初心者の頃は、

「分かりません」

「できません」

と言いやすいものです。

でも、経験を積むと、

「これくらい知っておかないと恥ずかしい」

と思ってしまうことがあります。

例えば、久しぶりに使う器材。

初めて行くポイント。

普段と違うエントリー方法。

分からないことがあれば、聞けばいいんです。

ダイビングでは、

知ったかぶりをしないことも安全につながります。

「これってどうやるんでしたっけ?」

それだけでいいんです。

9.「今日はやめておく」という判断を忘れない

経験を積むと、潜ることが当たり前になってきます。

せっかく海まで来た。

予約していた。

仲間が楽しみにしている。

そんな理由から、

「まあ大丈夫だろう」

と無理をしてしまうことがあります。

でも、

睡眠不足。

強い疲労。

体調不良。

強い不安。

海況の悪化。

そういった状況なら、潜らないという選択肢もあります。

ダイビングは、潜ることだけが技術ではありません。

潜らないと判断することも、立派なダイビングの技術です。

以前の記事でも書いたように、ダイビングには「あきらめる勇気」が必要な場面があります。

経験が増えれば増えるほど、

「せっかく来たから潜る」

ではなく、

「安全に潜れる状況なのか」

を考えられるようになりたいものです。

10.上達しても「基本に戻る」

ダイビングは、経験を積むほどできることが増えていきます。

深い場所へ行ける。

流れのある場所でも潜れる。

魚を探しながら泳げる。

写真を撮りながら潜れる。

いろいろな海に行ける。

それはダイバーとしての楽しみが広がっていくということです。

でも、できることが増えても、

基本が必要なくなるわけではありません。

器材を確認する。

バディを確認する。

呼吸を続ける。

残圧を見る。

深度を確認する。

安全停止をする。

海況を見る。

自分の状態を見る。

そして、無理をしない。

どれも、初心者の頃に教わったことばかりです。

でも、本当に大切なことは、経験を積んだからといって古くなるわけではありません。

上手なダイバーほど基本を大切にする

ダイビングが上達すると、「できること」が増えていきます。

でも、本当の意味で経験を積んだダイバーは、

「自分は何でもできる」

とは考えません。

むしろ、

「今日はどうだろう?」

「この海況なら大丈夫かな?」

「今の自分の状態はどうかな?」

と、その都度確認します。

海は毎回違います。

自分の体調も毎回違います。

一緒に潜る人も違います。

だからこそ、毎回基本に戻る。

私は、それが長く安全にダイビングを続けるために大切なことだと思っています。

ダイビングが上手くなるということは、基本を卒業することではありません。

基本を当たり前のように続けられるようになること。

それも、ダイバーとしての上達の一つなのではないでしょうか。

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