ダイビング中に焦ってしまう。
初心者の方からすると、そんなことは「自分が怖がりだから」と思ってしまうかもしれません。
でも、水中で焦る原因は、必ずしも恐怖心だけではありません。
実は、
「次に何をすればいいのか分からない」
という状態も、焦りにつながります。
陸上なら、分からなければ立ち止まって考えることができます。
でも水中では、呼吸をしながら、浮力を保ちながら、周囲を確認しながら判断しなければいけません。
だからこそ、潜る前にある程度のことを決めておく。
これだけでも、水中での安心感はかなり変わります。
今回は、私がダイビング前に確認しておきたいと思っていることについて書いてみます。
1.まず「今日はどこまで行くのか」を確認する
最初に確認しておきたいのが、今日のダイビングの全体像です。
例えば、
「この方向に進む」
「この辺りで折り返す」
「このルートを通る」
など。
もちろん、水中では海況によって予定が変更になることもあります。
大切なのは、細かいルートを完全に覚えることではありません。
「今日のダイビングは、だいたいこういう流れなんだ」
と理解しておくことです。
何も分からないまま水中に入るのと、ある程度イメージできている状態で入るのでは、気持ちの余裕が違います。
2.「困ったらどうするか」を先に決めておく
これは非常に大切です。
ダイビング中に、
「もし耳抜きができなかったら?」
「もしマスクに水が入ったら?」
「もし怖くなったら?」
「もしバディとはぐれそうになったら?」
そんなことが起きたとき、初めて考えるのではなく、潜る前に確認しておきます。
もちろん、すべてのトラブルを予想する必要はありません。
例えば、
「何かあったらまずインストラクターに合図する」
「分からなくなったら勝手に泳がず、指示を待つ」
というように、基本的な行動を決めておくだけでも違います。
困ったときの行動が決まっていると、焦ったときにも動きやすくなります。
3.バディとの合図を確認する
水中では、普通に会話することができません。
そのため、ハンドシグナルが重要になります。
潜る前に、
「OK」
「問題がある」
「浮上」
「耳抜きができない」
など、必要な合図を確認しておきます。
特に、一緒に潜る人が初めての相手なら、
「何かあったらどうやって知らせるか」
を確認しておくと安心です。
水中で、
「これってどういう意味だっけ?」
とならないように、分からない合図は潜る前に聞いておきましょう。
4.自分の「無理をしないライン」を決めておく
これも非常に大切です。
例えば、
「耳が痛かったら無理に潜らない」
「呼吸が苦しくなったらペースを落とす」
「怖くなったらインストラクターに伝える」
「体調がおかしいと思ったら無理をしない」
など。
つまり、
「ここまでなら続ける。でも、ここから先は無理をしない」
というラインを、自分の中で決めておきます。
実際に不安になってから判断しようとすると、
「せっかくここまで来たし……」
「みんな潜っているし……」
と無理をしてしまうことがあります。
だからこそ、先に決めておく。
これは「あきらめる勇気」を持つためにも大切です。
5.残圧についてもイメージしておく
潜る前に、
「どのくらいの残圧になったら戻り始めるのか」
など、ダイビングの計画を確認しておきます。
具体的な数値は、ダイビングポイントやダイビング計画、経験、器材などによって異なります。
大切なのは、
「エアがなくなるまで潜る」のではなく、余裕を残して戻る
という考え方です。
潜ってから、
「残圧が少なくなってきたけど、どうしよう?」
となるより、事前に基準を確認しておいたほうが安心できます。
6.浮上するときのことも先に確認する
意外と忘れやすいのが、浮上についてです。
「どこで浮上するのか」
「誰と浮上するのか」
「安全停止はどうするのか」
「浮上後はどこへ移動するのか」
こうしたことを、潜る前に確認しておきます。
特に初心者の場合、浮上するときになって急に不安になることがあります。
でも、事前に流れが分かっていれば、
「このあと浮上するんだ」
と落ち着いて行動しやすくなります。
7.「分からないこと」を残さない
一番簡単で、一番大切なのがこれかもしれません。
ブリーフィングを聞いていて、
「よく分からなかった」
と思ったら、そのままにしない。
質問してください。
「このあとどっちに行きますか?」
「ここで浮上ですか?」
「流れがあった場合はどうしますか?」
「この合図は何ですか?」
何でも構いません。
経験が浅いから質問するのではありません。
経験豊富なダイバーでも、初めてのポイントなら確認します。
分からないことを分からないままにしない。
これだけでも、水中での不安はかなり減らせます。
8.「予定通りにいかなくてもいい」と知っておく
ここも重要です。
潜る前に計画を立てても、海の中では予定通りにならないことがあります。
透明度が悪い。
流れが強い。
魚が思った場所にいない。
予定より疲れる。
耳抜きがうまくいかない。
そんなことは普通にあります。
だから、
計画通りにいかなかった=失敗
ではありません。
安全を優先してルートを変更する。
浅いところへ移動する。
早めに浮上する。
場合によっては潜らない。
その判断ができることも、ダイビングの技術です。
潜る前に決めておけば、水中で考えることが減る
水中で焦らないために必要なのは、
「絶対に焦らないこと」
ではありません。
人間なので、不安になることもあります。
大切なのは、
焦ったときに何をするかを、ある程度決めておくこと。
そして、
「分からない」
「怖い」
「疲れた」
「うまくできない」
と思ったら、インストラクターやバディに伝えることです。
潜る前に、
- 今日のルート
- バディとの位置
- ハンドシグナル
- 困ったときの行動
- 残圧の考え方
- 浮上の流れ
- 自分が無理をしないライン
を確認しておく。
それだけでも、水中で突然「どうしよう」となる場面を減らせます。
ダイビングは、水に入ってからすべてを考える必要はありません。
潜る前に決められることは、潜る前に決めておく。
そうすると、水中では魚や景色を見ることに、もっと集中できます。
そして何より、余裕を持って海を楽しめるようになります。
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